吹き抜けをふさぐと家の通風はどう変わる?後悔しないための空気の流れと快適性の考え方
「吹き抜けをふさぎたいけれど、風の通りは悪くなるの? 湿気や熱がこもらない?」
そんな不安を抱えている方はとても多いです。
吹き抜けリフォームは、冷暖房効率の改善・生活動線の最適化・新たな部屋の増設などメリットが多い反面、
通風(空気の流れ)がどう変化するかは長く暮らすうえで重要なポイント。
この記事では、
吹き抜けをふさぐことで通風がどう変わるのか、悪化を防ぐための具体策、施工前に必ず確認すべき点を
専門的な視点でわかりやすく解説します。
◆ 吹き抜けをふさぐと通風はどう変化する?基本の3つのポイント
1. 上下の自然換気が弱くなる
吹き抜けは家の中で「縦方向の空気の通り道」として働いています。
温かい空気が上へ上り、冷たい空気が下へ流れる自然換気が起きやすいため、
**吹き抜けがある家は“空気が抜けやすく理想的な風の経路ができやすい”**という特徴があります。
→ 吹き抜けをふさぐとこの縦の流れが消えます。
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1階で発生した湿気が上へ逃げにくくなる
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高温の空気が家の中に滞留しやすくなる
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1階と2階の温度差が縮まるが、空気が動きにくくなる
通風という点だけ見れば、
吹き抜けをふさぐことで“空気の抜け道”がひとつ減るというイメージです。
2. 部屋ごとの空気がこもりやすくなる
吹き抜けは「ひとつの大きな空間」として空気を循環させるので、
湿気やにおいが分散されやすい構造になっています。
ふさぐことで区切られた部屋には以下のリスクが生まれます。
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料理・生活臭が1階にこもる
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洗濯物の湿気が抜けにくい
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夏の蒸れ感が強くなる
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冬は石油ストーブや暖房の水蒸気が溜まりやすい
しかし適切な対策をすれば大きな問題にはなりません。
後ほど対策を詳しく紹介します。
3. 間取りによっては“風が通る家”に変わることもある
意外ですが、
吹き抜けをふさぐことで逆に通風が改善するケースもあります。
たとえば、
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吹き抜けが原因で風が抜けすぎてしまう
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冷暖房をしても上へ風が逃げてしまう
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空気が上部で滞留してしまう
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吹き抜け上部の窓を開けても風が入らなかった
などの場合です。
吹き抜けをふさぎ、
廊下・窓・扉の位置が最適化されると「横方向の風」が通りやすくなる家に変わることもあります。
◆ 吹き抜けをふさいだ後に“風が通らなくなる家”を防ぐ具体的な対策
通風は、リフォーム後にいちばん後悔しやすいポイントでもあります。
ここでは「絶対にやっておけばよかった…」とならないための対策を紹介します。
1. 室内窓(内窓)で風の抜け道を確保する
吹き抜けを塞いだ部分に室内窓を設けると、
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部屋間の通気が生きる
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暗くなりがちな廊下に光が入る
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空気の逃げ道ができて湿気がこもらない
という効果があります。
開閉式にしておくとさらに便利で、
季節ごとに通気量を調整できるのも大きなメリット。
2. 壁に通気口・換気ルーバーを設置する
常に通気させたいなら、
壁の高い位置・低い位置に小型の通気口をセットするのも効果抜群です。
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高さの異なる通気口 → 自然換気が起きやすい
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湿気が溜まりにくい
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ペットや花粉に悩む家庭でも換気が安定する
施工費も比較的安く、人気の対策です。
3. シーリングファンの代わりに“サーキュレーター換気”を取り入れる
吹き抜けに多いシーリングファンは、空気循環に大きく役立っています。
ふさぐことでファンがなくなる場合は、
サーキュレーターで同様の空気循環を再現できます。
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上→下への空気循環
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熱だまりの解消
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風の流れの再構築
とくに季節の変わり目の湿気対策に効果的です。
4. “風の入り口と出口”をセットで考える
通風の基本は
入り口(給気)と出口(排気)のセットです。
吹き抜けをふさぐ際は、
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どの窓から風が入り
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どの窓から風が抜けるのか
を施工前に整理しておく必要があります。
特に重要なのは以下:
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南北に風が抜けるか
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高さの違う窓を確保できるか
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ドアを閉めても空気が流れるか
この視点があるだけで、リフォーム後の快適性が大きく変わります。
5. 24時間換気システムの位置も再確認する
吹き抜けを塞ぐと、
換気システムの吸気・排気の位置関係が変わります。
思わぬところに“空気のよどみ”ができることがあるため、
施工前に必ず以下をチェックしましょう。
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1階と2階の換気のバランス
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排気口前に家具を置かない導線
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吸気・排気の距離が近すぎないか
換気システムの性能が落ちると、
湿気・カビ・においの原因になりやすくなります。
◆ 吹き抜けをふさぐメリットと通風のバランスをどう取るか?
吹き抜けをふさぐメリットは大きく、
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冷暖房効率が上がる
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生活空間が増える
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プライバシーが守られる
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音の反響がなくなり静かになる
など、暮らしの質が底上げされます。
ただし、
通風効率だけは何も考えずに塞ぐと“後悔ポイント”になりがちです。
しかしこの記事で紹介したように、
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室内窓
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通気口
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サーキュレーター
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換気システムの最適化
といった対策を取り入れれば、
快適な空気の循環を維持しつつ、吹き抜けのデメリットを解消できます。
◆ まとめ:吹き抜けをふさぐと通風は変わるが、対策次第で快適な家になる
吹き抜けをふさぐと、
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上下の空気の流れが弱くなる
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部屋に湿気・においがこもりやすくなる
といった変化が出ます。
しかし、
空気の通り道を意識したリフォームを行えば、通風の悪化を高い確率で防ぐことが可能です。
最後に大切なポイントをまとめると…
✔ ふさぐ前に必ず「風の入り口と出口」を確認
✔ 室内窓・通気口があるだけで空気の流れが大きく改善
✔ サーキュレーターで吹き抜けと同等の循環を作れる
✔ 換気システムは必ず再配置を確認する
✔ 適切にふさげば“風が通る家”に変わることもある
吹き抜けリフォームは、
通風・断熱・採光の3つを正しく設計することで“後悔のない快適な家”に生まれ変わります。