🌬️【後悔しないリフォームへ】吹き抜けをふさぐと家の風通しはどう変わる?メリット・デメリットを徹底解説
開放感あふれる吹き抜けは、リビングに広がりと明るさをもたらす魅力的な設計です。しかし、「冷暖房の効率が悪い」「二階の使い勝手を良くしたい」といった理由から、吹き抜けを塞いで部屋を増設するリフォームを検討される方も少なくありません。
しかし、ちょっと待ってください。吹き抜けは単なる「空間」ではなく、家の空気の循環において重要な役割を果たしています。この構造を変えてしまうと、家の風通しや温熱環境は劇的に変化します。
「吹き抜けをふさいだら、家の中が蒸し暑くならないかな?」
「かえって空気の流れが悪くなって、カビや結露の原因になったりしない?」
このような不安を感じているあなたのために、この記事では、吹き抜けを塞ぐリフォームが家の風通し(通風)と空気の流れに与える影響を、メリットとデメリットの両面から専門的な視点で徹底解説します。後悔しない間取り変更の参考にしてください。
1. 吹き抜けが持つ「本来の換気・通風機能」とは?
吹き抜けが設けられている家では、空気の性質を利用した、特定の換気システムが自然に機能しています。
① 煙突効果(チムニー効果)による自然換気
暖かい空気は軽いため、上昇するという性質があります。吹き抜けは、この現象を最大限に利用する**「煙突」**のような役割を果たします。
一階の窓や玄関から冷たい外気が取り込まれます。
リビングなどで暖められた空気が吹き抜けを通って上層へ上昇します。
最上階(二階)に設けた高所の窓や排気口から、温まった空気が排出されます。
この煙突効果によって、夏場でも家全体の熱気や湿気を効率的に排出でき、エアコンに頼りすぎない快適な空気環境を保つことができるのです。これが、吹き抜けの風通しが良いと感じる最大の理由です。
② 縦方向の空気の循環
吹き抜けがあることで、一階と二階の間に大きな空気の通り道が生まれます。これにより、家全体の空気が混合され、特定の場所に淀んだ空気が溜まりにくくなります。
2. 吹き抜けを塞いだとき「風通し」はどう変わる?
この縦方向の空気の流れを床で遮断してしまうと、風通しと温熱環境は以下のように変化します。
メリット:横方向の風通しを改善できる可能性がある
一見、風通しが悪くなりそうですが、設計次第で局所的な風通しは改善します。
個別の部屋での風通し改善: 吹き抜けを塞いで個室にした場合、その部屋に窓を二方向に設けるなど、窓の配置を工夫すれば、その部屋単体での通風は確保できます。
熱だまりの解消: 暖気が天井近くに溜まり、扇風機などで撹拌しにくかった二階の空間に天井ができることで、エアコンの効率が良くなり、局所的な熱だまりは解消しやすくなります。
❌ デメリット:家全体の空気の循環が悪くなる
最大のデメリットは、これまで解説した**「煙突効果」が失われる**ことです。
熱気・湿気の排出効率の低下: 夏場、一階で発生した熱気や湿った空気が二階の天井で遮られてしまい、自然に家の外へ排出されにくくなります。これにより、特に梅雨時や夏場の二階のこもり熱や湿度が高くなりやすくなります。
空気の淀み発生: 吹き抜けがあった場所が廊下や部屋になった場合、ドアや壁によって空気の流れが細分化され、閉じた空間ができやすくなります。その結果、空気の淀みやカビが発生しやすい換気の死角が生まれるリスクが高まります。
一階の開放感と採光性の低下: 吹き抜けの恩恵だった明るさと開放感、そして一階から二階への空気のつながりが失われ、空間の質が変化します。
3. リフォーム後の快適性を確保するための対策
吹き抜けを塞ぐことによる風通しのデメリットを最小限に抑え、快適性を維持するためには、換気計画の見直しが必須です。
対策①:機械換気システムの強化・導入
自然換気が期待できなくなる分、機械による換気が重要になります。
24時間換気システムの確認: 既存の24時間換気システム(第三種換気や第一種換気など)が、部屋が増えた後の換気量に対応できるか、換気口の配置を見直す必要があります。
シーリングファン(天井扇)の活用: 塞いだ後の新しい部屋や廊下にもシーリングファンを設置することで、強制的に空気を攪拌し、淀みを防ぐことができます。
対策②:窓の配置とドアの工夫
新設する床や壁に、風の通り道を作る工夫をしましょう。
対角線上の窓配置: 新しい部屋には、二つの窓を対角線上に配置し、風の入口と出口を確保する。
欄間(らんま)付きドアやガラリ戸: 完全に密閉せず、上部に空気の通り道を設けた室内ドアを採用することで、部屋間の空気のつながりを部分的に維持できます。
対策③:断熱・気密性能の見直し
吹き抜けを塞ぐ大きな理由の一つが冷暖房効率の改善です。これを最大限に活かすため、新しい床や壁には高性能な断熱材を施工し、気密性を向上させることが重要です。
断熱リフォーム:新しい床下に高性能断熱材を敷き込むことで、上下階の熱の移動を効果的に遮断し、冷暖房効率を劇的に高めます。
まとめ:吹き抜けを塞ぐことは「空気の設計」の変更
吹き抜けを塞ぐリフォームは、単に床面積を増やすことではなく、家の空気の設計を大きく変える行為です。
吹き抜けの恩恵だった縦方向の自然換気(煙突効果)が失われる。
夏場の熱気や湿気が溜まりやすくなるリスクがある。
リフォーム後の快適性を確保するためには、機械換気と窓の配置による計画的な通風を新しく設計し直すことが不可欠。
もし、あなたが部屋の増設と快適な空気環境の両立を目指すなら、建築士やリフォーム専門家に相談し、断熱と換気を含めたトータルなリフォームプランを立てることが、後悔のない家づくりへの一番の近道です。