大切な美術品を湿気から守る!自宅でできる保存のコツ
お気に入りの絵画や彫刻、買ったばかりの美しい状態で、いつまでも大切にしたいですよね。でも、日本の高温多湿な気候は、美術品にとって大きな敵。特に梅雨や夏は、湿気によるカビや劣化が心配になります。
「でも、美術館みたいに専用の部屋なんてないし…」そう思っている方も大丈夫!ちょっとした工夫で、自宅でも大切な美術品を長持ちさせることができます。今回は、美術品を守るための湿気対策と保存方法について、分かりやすくご紹介します。
なぜ湿気は美術品の大敵なの?
湿気が美術品に与える影響は、想像以上に深刻です。
カビの発生: 湿度が高くなると、カビが繁殖しやすくなります。カビは一度発生すると取り除くのが難しく、美術品にシミを作ったり、素材を脆くしたりする原因になります。特に、紙や布、木材など、湿気を吸いやすい素材の美術品は要注意です。
素材の変形・劣化: 湿気と乾燥を繰り返すと、素材が膨張・収縮を繰り返し、ひび割れや反りを引き起こすことがあります。絵画の絵の具の剥落や、木彫のひび割れなどもこの影響です。
金属のサビ: 金属製の作品や、額縁の釘などが湿気でサビてしまうこともあります。
美術品の理想的な環境って?
美術館では、美術品の保存のために徹底した温度・湿度管理を行っています。自宅で同じ環境を作るのは難しいですが、一つの目安として知っておくと役立ちます。
温度: 20℃前後
湿度: 40~55%
ポイントは、急激な温度や湿度の変化を避けることです。人間が快適に過ごせる環境は、美術品にとっても心地よい環境と言えます。
今すぐできる!自宅での湿気対策と保存方法
ここからは、実際に家庭でできる具体的な対策をご紹介します。
1. 設置・展示場所の工夫
風通しの良い場所に: 部屋の空気が循環するように、風通しの良い場所に飾りましょう。
外壁側の壁を避ける: 外壁は結露しやすく、湿気がこもりやすい場所です。できるだけ避けて飾るようにしましょう。
エアコンの風が直接当たらないように: エアコンの風は空気を乾燥させたり、急激な温度変化をもたらしたりします。直接風が当たらない場所に配置しましょう。
床に直置きしない: 床は湿気がたまりやすい場所です。特に押し入れやクローゼットにしまう際は、床から少し離れた場所に置くか、すのこなどを敷いて通気性を確保しましょう。
2. 日常のお手入れと管理
こまめな換気: 晴れた日は窓を開けて、お部屋の空気を入れ替えましょう。空気の入れ替えは湿気を逃がすだけでなく、カビの胞子やホコリを外に出す効果もあります。
除湿機・除湿剤の活用: 除湿機やエアコンのドライ機能を活用して、部屋全体の湿度をコントロールしましょう。除湿機がない場合は、置き型の除湿剤を配置するだけでも効果があります。
ホコリをこまめに取り除く: ホコリはカビの栄養源になります。柔らかい筆やクロスで、作品の表面や額縁の溝についたホコリを優しく払ってあげましょう。
額装の工夫: 絵画などを額装する際は、作品とガラスの間に「マット」を入れるのがおすすめです。これにより通気性が確保され、結露による作品の劣化を防ぐことができます。
3. 長期保管する際のポイント
通気性の良い保管箱に: 美術品を保管する際は、プラスチックケースのような湿気がこもりやすい容器は避け、木箱や布製のケースなど、通気性の良いものを選びましょう。
立てて保管する: 絵画などを保管する際は、横に重ねず、立てて保管しましょう。平置きすると、作品の自重で変形したり、他のものと重ねた際に傷ついたりするリスクがあります。
定期的に「虫干し」: 完全に閉め切った場所に保管しっぱなしにせず、年に一度は箱から出して風を通しましょう。これを「虫干し」と言います。特に空気が乾燥する時期に行うのがおすすめです。
まとめ
大切な美術品を守るには、何よりも「日々の観察」と「適切な環境づくり」が大切です。湿度の管理やこまめな換気、ホコリ掃除など、ちょっとしたお手入れを続けることで、作品の美しさを長く楽しむことができます。
もし、カビが生えてしまったり、ひび割れなどの異変に気づいた場合は、無理に自分で修復しようとせず、専門の業者に相談するのが一番安心です。大切なコレクションを長く愛でるために、できることから始めてみましょう!